お金は借金で発行されて富裕層に溜まる
💎通貨は民間銀行が発行する
通貨は、民間銀行がお金を貸し出すときに、借金者の口座に数字を書いて発行します。誰かに10万円を貸す場合、銀行は預金通帳に「100,000」と書けば通貨が発行されるのです。これを預金創造と呼びます(広辞苑第6版「信用創造」の項目)。つまり、誰かが預金取扱機関から借金すると世の中のお金が増えます。誰でも世の中のお金を増やせるのです。
民間銀行が通貨を発行するとはにわかに信じられないかもしれませんが、「イギリスの通貨の97%は民間銀行が発行する」と、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行が発表しています(こちら、英語)。また、R・A・ヴェルナー著「円の支配者」にも書かれていますし、こちら(英語)には、ドイツやノルウェーの中央銀行の発表など様々な「証拠」を掲載しています。「証拠」と言ってる理由は、経済学が違うことを教えてるから。上記の「証拠」サイトには、「経済学の教科書では、銀行は預金者のお金を借金者に貸している仲介者と書かれているが、それは正しくない」とはっきり書かれています。民間銀行は、借金者の預金口座に数字を書くことで、打ち出の小槌のように通貨を発行しています。
💎通貨総量は借金総量と同じ!
誰かが借金したときに通貨が発行されるということは、通貨総量はほぼ借金総量だということです。驚くことに、借金を全部返してしまったらなんと、世の中にお金がない!
それを表したのが下記の図です(こちらの論文より)。棒グラフは借金、青線が通貨総量の、それぞれ累積金額です。借金が増加するとともに通貨総量が増えています。
赤棒が民間の借金です。バブル期までは、民間企業は借金での投資を拡大し続けていました。バブル崩壊後はそれを止めて借金返済に回ったので、2000年代初頭まで少し減っています。バブル以降、増えている緑の棒グラフは政府です。バブル以降、借金を返済せずに世の中にお金を供給し続けているのは、主に政府なのです。
通貨総量は、預金取扱機関の貸出で増えて、返済で減ります。貸出で増えることを預金創造、返済で減ることを預金消滅と言います。だから、世の中の通貨総量は下記で表されます。(詳細はこちらの論文を参照ください。)
今年末の通貨総量 = 前年末の通貨総量 + 今年の預金創造 - 今年の預金消滅
= 前年末の通貨総量 + 今年の借金量 - 今年の借金返済量
💎借金で生まれたお金は巡り巡って富裕層に溜まる
今回の新型コロナ対策も、赤字国債発行によって行えば、同様に世の中の通貨が増えます(通貨の増加についてこちらに野口悠紀雄さんの解説記事)。経済支援のお金も、最初は中低所得層にも配られますが、そのお金を中低所得層が使うと、社会を巡り巡って最後に富裕層や黒字企業の預金口座に溜まります。あえて「貯まる」じゃなくて「溜まる」という漢字を使ってます、経済の血液である通貨が、澱んで溜まってる状態にあるので。。政府の借金で通貨がどんどん増えて、富裕層や黒字企業の預金を増やしていますが、誰が借金しても同じことです。お金は借金で生まれて、富裕層と富裕企業に溜まります。日本で溜まって使われないお金は今や900兆円を超えています。
経済支援策は必須だけど、通貨総量の増加は、経済格差と金融膨張を生み、金融システムがその経済格差をさらに拡大します。その根底にある原因は、誰かが利益を蓄積すると誰かが損失を蓄積することになる、貨幣経済の仕組みであり、利益の追求が必然的に経済格差を拡大する資本主義の矛盾です。
この状態は、借金した人にとってはたまったものじゃないです。返済しようにも、お金は富裕層に行き着いて溜まっちゃって、帰って来ないのですから。しょうがないから、さらなる借金に走る。しかも元金に加えて利息の分も必要だから、借金は膨らむ!とんでもなく悪循環で、通貨量がずっと増え続けています。
💎だから循環する通貨を!
政府が経済支援を行えば行うほど、富裕層が得をする仕組みに、今の世の中はなってる。一方、政府は借金返済のために切り詰めようとします。教育費用を減らし医療費用を減らし介護費用を減らし公務員を非正規雇用にし年金受給年齢を引き上げます。こういう施策から影響を受けるのは必ず中低所得層です。富裕層は影響受けません。お金があれば、なんでも解決できますから。それでは全然持続可能ではありません。
だから、「循環する通貨」です。経済支援に配ったお金を少しずつ回収して、お金が富裕層に溜まらないように仕組みです。経済活動の血液である通貨を循環させて、経済社会が死なないようにする心臓の役割を果たします。お金を社会の中で循環させて、持続可能な協力型経済を作りませんか。
湧志創造