「循環する通貨」実施に必要な通貨量
🔮持続可能なベーシックインカム
政府が赤字国債発行によりベーシックインカム(BI)などの経済支援策を実施すると、世の中に流通する通貨の総量が増加し、銀行の負担増や経済格差拡大、金融の膨張などの問題を招きますが、「循環する通貨」を用いれば、BIのような経済支援を継続しつつ、通貨総量は一定量を超えません。言い換えると、一定の通貨総量でベーシックインカムを未来永劫、継続できます。
例えば、1億人に毎月10万円ずつ支給するとします。一月に必要な金額は10兆円。いま特別定額給付金で政府が1回だけ実施していることですね。赤字国債を10兆円発行してこれを実施すれば、世の中に10兆円のお金が増えます。
「循環する通貨」の仕組みでは、例えば月初に10万円を支給して、例えば月末に1%を回収します。そうすると、1か月目は世の中にある「循環する通貨」は全部で10兆円で、その1%だから、1000億円を回収でき、これを次月の供給に回せます。世の中には9兆9千億円が残る。そこにまた次の月にも一人10万円、全部で10兆円供給するのですが、前月に回収した分が1000億円あるので、新規の通貨は9兆9千億円ですみます。世の中の「循環する通貨」総額は19兆9千億円になり、次の月の回収はその1%、1990億円が回収されます。このように、供給金額は毎月必ず10兆円で変化無しですが、世の中の通貨総量が増え回収金額が増えるので、新規に必要な金額はどんどん減少して行きます。
🔮「循環する通貨」総量は一定量を超えない
そして、回収金額が供給金額と同じになったところで、「循環する通貨」総額増加が止まります。毎月、10兆円を供給して10兆円を回収するので、新規の資金が不要になるということです。通貨総量がそれ以上変化しなくなる、定常状態に達したということです。そのときの通貨総量は、下記式で表されます。
「循環する通貨」総量@定常状態 = 毎月一人当たりの供給金額 x 人数 ÷ 回収率
今の条件だと、供給金額は10万円、人数は1億人、回収率は1%なので、
10万円 x 1億人 ÷ 0.01 = 1000兆円
定常状態に達する金額は1000兆円です。
毎月10万円x1億人=10兆円を配り始めてから、毎月1%回収した場合に「循環する通貨」総量がどのように増えて行くかを表したのが下記図です。
このように、最初から1000兆円が必要となるわけじゃないのです。最初の2年は200兆円、4年で400兆円、10年で700兆円です。1000兆円に達するのは50年たってからです。ちなみにアメリカが今回のウィルス対策で発表した経済対策が、個人や企業向けで230兆円、公共事業で210兆円、合計で400兆円超えでした。
🔮「循環する通貨」で今こそ経済支援策を
50年で1000兆円、これで未来永劫、毎月10万円を1億人に配り続けられます。1000兆円はとんでも無い金額に思えますが、現在のマネーストックはM3で1380兆円、広義流動性と呼ばれる通貨量は1833兆6千億円もあります(こちら、日経)。国内の通貨総量は30年で1000兆円増えており、現在900兆円以上が1年に一度も使われることなく沈殿している。。50年で1000兆円は、それほど非現実的な数字ではないのです。10万円を未来永劫、1億人に供給し続けられるなら、1000兆円を使うべきだと思いませんか。
1億人を最初からやるのが大変なら1000万人から始める手もあります。最初の2年で20兆円あればできます。100万人なら総額10兆円、最初の2年で2兆円です。また、回収金額を2%にすれば、1億人でも総額500兆円で済みます。
お金は人間が発明したものです。その循環も人間が変えられます。現在の、人々が社会での成功を競い、敗者はときに命を脅かされる競争型社会も、誰もが生活を保障される協力型社会に変えられます。一部が成功する競争型社会か、皆が幸せになる協力型社会か。選ぶのは私たちです!
湧志創造