「循環する通貨」ー持続可能なベーシックインカムー実現に必要なもの
🔮 銀行にもサブスクを
「循環する通貨」を地域通貨で発行する例について説明します。
銀行には、預金創造により地域通貨を発行してもらいます。定額供給・定率回収の「循環する通貨」の回収率を1%として、3万円を100人に配るなら継続のために3億円、10万人なら3000億円が必要です。この金額で、未来永劫、3万円を全員に配れます。
銀行は地域通貨保全の役割を担い、その代価として、月に例えば0.5%の割合で、保有者全員から地域通貨を徴収します。その代わり、振り込みなどの通貨の移動は全て無料にし、通貨流通の障害をなくします。
これは、銀行のサブスク(月に一定額を払ってサービスを何回でも受けられる)と同じなので、疲弊した銀行の経営を助けるとともに、社会の通貨の流れを良くします。
🔮 電子通貨だけで動く「循環する通貨」
「循環する通貨」のシステムは、現金無しの電子通貨だけで、インターネット上で動かします。電子通貨の会社は通貨の移動の役割を担い、銀行と同様にその代価として、月に例えば0.5%の割合で、保有者全員から地域通貨を徴収します。
これもサブスクと同様であり、従来の電子通貨やクレジットカードに見られる、店舗のみが5~10%の手数料を支払う形態とは異なり、通貨を保有する全ての人がシステムを支えます。店舗もシステムに加入し易くなります。
「循環する通貨」システムの特徴の一つが、全ての「循環する通貨」をこの電子通貨の中に閉じ込めることです。お店の従業員も銀行の従業員も、給料の一部をこの電子通貨で受け取り、電子通貨で消費します。全ての「循環する通貨」が一つの電子通貨システムの中で動くので、タンス預金で失われることもなく、回収も容易です。
🔮 協力型地域社会
最後に必要なのは、システムの担い手となる協力型の地域社会です。
たとえ職がなく財産がない人でも、地域通貨を使って経済を回すことで社会に受け入れられる、そんな社会。生きることを競争しない協力型社会の理念を、構成員が共有している社会です。「循環する通貨」の循環のもと、人々は、製品やサービス、知識や知恵、スポーツや芸術を競います。一人10万円程度が供給されれば、職を失っても最低限の生活が保障されるので、自由に個性や発想を活かしてやりたいことに挑戦できます。
🔮 最初にシステムを構築すれば自動化可能
最初に「循環する通貨」専用の口座を銀行に用意し、通常の電子マネーと同じくスマホやカードでキャッシュレスの支払い方法を用意します。「循環する通貨」システム加入者に加えて、店舗や店舗従業員にも銀行や銀行従業員にも専用口座を用意します。毎月自動的に、加入者に例えば3万円を専用口座に振り込み、加入者は店舗で支払いに使用します。例えば3週間後に、全専用口座から1%の「循環する通貨」を回収し、次の定額供給に充てます。
店舗従業員や銀行従業員が加入者になって毎月の3万円の供給を受けても良いです。
システムの初期投資を行えば、その後は自動化により最小限のコストで「循環する通貨」の稼働が可能です。
🔮 生きることを競争するのを止めよう
3万円からスタートして、10万円まで増やせれば、人々の生存が脅かされることはなくなるでしょう。10万円を1億人に配るために必要な金額は1000兆円です。今現在、世の中に存在する通貨の総量は1500兆円くらいですから、国と民間銀行が力を合わせれば、実現不可能な数字じゃないと思います。
スポーツも科学も芸術も競争していい。産業も企業ももちろん競争していいけど、生きることだけは競争しちゃいけない。だって、負けたら死ななくちゃいけなくなりますもの。今、世界には、生きることですら負けても自己責任という社会が広がっています。新型コロナウィルスによる苦境はそれを加速するでしょう。だからこそ、そんな社会を否定する協力型社会を日本から発信していきたいと思うのです。。
※「循環する通貨」について詳細はこちらの論文を参照ください。
湧志創造